夜行高速バス

おつぎは夜行高速バスです。西鉄の夜行バスによく乗っていたので
西鉄をメインにしていきますね


西鉄の夜行の標準カラーでした(過去形)


ワンランク上の路線用にはこういう塗装がなされてました

ヘンテコなデザインですがこれ岡本太郎作なんだそうです。
まあおそらく本人じゃなくデザイン事務所が作ったものなんでしょうけど


大阪梅田に到着したところー。このバスの写真集はここ




これは他社ですが、ごく標準的な夜行仕様のようすです
通路2本で1席づつ独立しています。隣の人と触れ合うことがないというので
とくに女性には好評です。
この配列を考えたのは西鉄です、西鉄は夜行バスのパイオニアで、様々な
アイデアを全国に普及させていきました。福岡県民としては西鉄バスをおおいに
自慢していいですよ


これは西鉄。中央列の上にも無理やり空調ダクトを通して中央席の
ハズレ感をいくらかでもカバーしようとしたもの。
西鉄は子会社にボディーメーカーを北九州に持っていたので超特注も
可能だったのです


なんが後ろがボコッと張り出していますが

最後列のリクライニング角を確保するためにこれまた特注で発注したのです
これは2席ですが最終的に3席とも張り出しました


枕はこういうかんじで自由に動かせます


前のシートの下に足を突っ込めるようにしたこれまた特注のシートです
よほど足の長い人以外であればまっすぐに足を伸ばせて快適です


他社の例ですがフルリクライニングさせたところ
前席からの圧迫感があるのは仕方ないですね。そのままだとトイレに
行くのに通路に出にくいので肘掛けが下に折れるようになっています


夜行用シートもいろいろと試行錯誤が重ねられてきました
これは近鉄が提唱していた「なにも付けず足を投げ出したほうが
ラクやん」というコンセプトで作られた足置き台しかないシート。
ある意味それは正解ではあるんですが、さすがに簡素すぎて
手抜き感アリアリだと思われたのかその後は他社と同じシート
が付けられました
夜行では毛布が一人一人に用意されます


やはり夜行バスは暗くなってからのほうがふいんきはいいですね





さて、消灯時間となりました。西鉄ではなんと各列にカーテンを引くんです
まるで寝台車です。完全に隠れると法律上なんたらかんたららしいので腰の
あたりまでのカーテンです。これを「フェイスカーテン」と呼びます
寝顔を見られたくない女性には好評です。マジックテープ止めの切り込みが
入っているのでちゃんと通路に出られるんですよ
これも西鉄が最初に始めたものです。いまでは多くの会社で似たようなものを
付けるようになりました


中から見るとこんなかんじ。しばらくしたらほぼ完全消灯です


前後に仕切るカーテンもありますので一人一人個室ふうになるんですよ


こんなかんじー


大阪線で起床後お茶が配布されたところ
昼行便では絶滅したセルフ飲料コーナーも夜行便ではまだ残って
いる会社もあります





バスのトランクルームに窓みたいなものがありますけど窓なんです


ここは仮眠室になってるんですねえ。これは他社の例
長距離便は基本2人乗務で2〜3時間ごとに交代しながら運行するんですが
運転していないほうの人はここで仮眠を取るのです


ここではスノコを置いてマット、布団という構成ですね
知り合いの運転士さんが高速班だったので聞いたことがあるんですが
これがなかなか快適なんだそうですよ。空調もちゃんと効くしなにより完全に
横になれるのはありがたいと言ってました。騒音はあるらしいですけどね


べつの車両の例。これにはインターホンが付いてますね。インターホンが
ない場合はブザーが付いてて交替地が近づくと運転席からブザーで起こすのです
出入口は外だけでなくトイレの階段のところからも出入りできます

室内側の秘密の出入口。右がトイレの扉









91年に東京線が開設された直後に乗ったはかた号です
壇ノ浦PAで九州入りまえの休憩中の図。
当時は15時間かかってました。いまは14時間くらいですね
「軽食」も配布されてまして、ラスク、ジャム、ヴェルデの缶ポテトサラダ
オレンジドリンクが入った紙袋が夜か朝かに配られていました
夜行バスは大雪などで大幅に遅れたとき用にカンパン等の非常食を
積んでると聞いたことがあります

この当時ですでに現在と同じ夜行バスのスタイルが完成しています
個室カーテンもすでに完備してたんですよ。でもこれは西鉄だけで
共同運行していた京王バスにはありませんでした

座席下をえぐった特注スリーピングシートもすでにありました


これわかりにくいですけど最後部はサロンといって定員外のフリースペースに
なっていたんです。長時間だから息抜きできる場がが必要だろうということらし
かったんですが、トイレと逆サイドの人の通路という役割も持たせたようです
このため定員は23人という採算性の低い仕様でした
その後はこんなもんなくなって他路線とかわらない28人仕様になりました


これは86年の国鉄ドリーム号。よく京都に行ってたんで行きは夜行バスに
乗ることが多かったのです。たぶん滋賀県の多賀SAで朝の休憩中のところ。
この当時はまだ夜行といっても前方を仕切るカーテンもなく、客席カーテンを
閉めるアナウンス等もありませんでした。あたしはいつも最前列を確保して
ましたので寝ずに前方の景色を眺めていました

というわけで夜行バスの講義を終わります。夜行の場合、バス会社による
差(車両・サービス)が大きいのが特徴です。同じ路線でもそれぞれの会社が
交互に運行するためどちらの担当かを調べておくことが大事です。西鉄の日なら
個室カーテン付きでシートが特注で休憩も寝るまえと朝イチと2回あるのに、
相手方の担当の日だとカーテンはなく簡素な標準シートでお客が降りられる
休憩はナシ、ということにもなるんですよ

いま新宿行きはかた号は2階建てバスを使い3クラス制をとっています
ファーストクラスにあたる2階最前方の席で優雅に14時間の旅をしてみるのも
よろしいのではないかと思います。あたしはカンベンですけどね

はいおしまい

本家のバス